Nikon Imaging Center at Hokkaido university

A1って、すごい。


スペクトルモードと画像のアンミックス

多重染色HeLa細胞のスペクトルイメージとそのアンミックス
多重染色HeLa細胞のアンミックスの詳細

Station-1:ニコンの共焦点顕微鏡:A1のスペクトルモードでは、得られた蛍光を回折格子で 2.5nm/6nm/10nm × 32チャンネルに分け、各ピクセル単位でのスペクトル情報を取得することが可能です。スペクトルイメージング法で取得した画像と、各成分単体のスペクトルとの比較により、多重蛍光の試料からアンミックス(各成分を分離)することができます。そのため、多重蛍光サンプルで蛍光スペクトルの重複が憂慮される場合でも、各成分を明瞭に分離することが可能です。
*右図は、クリックすると拡大表示されます。

:細胞核(DAPI染色)
シアン:Vinculin-Alexa488
:Vimentin-Alexa568
:Tubulin-Alexa594
青紫:Actin(Phalloidin-Alexa633)

※ サンプルの作成と提供:久留米大学医学部 皮膚科学教室 辛島正志先生

高速・高画質を選べます

一般の蛍光顕微鏡はカメラで画像を撮影するのとは異なり、共焦点顕微鏡では視野をレーザーが"スキャン"して画像を作成します。カメラでは皆さんのお持ちのものと同様に、"カシャッ!"とごく短時間で画像を取得できますが、一般の共焦点顕微鏡では画像取得に少し時間がかかり、1枚を撮るのに1秒ほど必要で、高解像度の画像の場合は更に時間がかかります。そのため超高速で起こる生物現象を観察することは、難しいです。
当センターのニコンのA1には高速観察用スキャナも搭載されており、最速で毎秒230枚(512×64ピクセル)/33枚(512x512ピクセル)という超高速画像取得や、光刺激(現在は405nm)を行いながら同時に蛍光イメージングを行うことが可能です。
画像例:光刺激によって2種類の蛍光波長の比が変化するFRETタイプの蛍光タンパク質:Phamretが発現したHeLa細胞に、光刺激を行いながら高速共焦点観察(毎秒8枚程度で画像取得)。
このサンプルでは、Phamretは細胞質内に発現しており、刺激を受けたタンパクが細胞質に拡散していく様子をリアルタイムに捉えることが可能です
※サンプル提供 大阪大学 産業科学研究所 生体分子機能科学研究分野 松田知己先生・永井健治先生

3次元モデルの構築

通常の落射蛍光画像ではフォーカスが合っている面から少しずつずらしてゆくと、どんどんフォーカスはずれてゆきます。一方で共焦点顕微鏡の場合は、試料のフォーカス面からの蛍光のみを取得するので、各Z位置でフォーカスが合った像を得ることができます。
Nikon:A1では、光学系の改良で従来機より明るい像が取得できますので、厚みのあるサンプルをスキャンし、その3次元モデルを構築することも容易に行えます。またA1のソフトウエアでは、3次元モデルの回転像・ビルドアップ像も簡単に作成できます。以下の各画像をクリックしますと、それぞれの動画(数百kb)が再生されますので、ぜひこちらもご覧ください。
*表示の関係上、ここではオリジナルより解像度を下げております。より高解像度の画像は、[NIC紹介ムービー]に使用しておりますので、そちらをご覧ください。


例1 昆虫の触覚葉(一次嗅覚中枢)のニューロン構成
:細胞核(DAPI染色)
:嗅覚介在ニューロン(FITC)
:嗅覚求心線維(ローダミン)
400μm(1000枚)にわたって、個々の糸球体の中で嗅覚求心線維と1個の嗅覚介在ニューロンの絡み付きを高精細で表現できました。ほぼ全ての嗅覚求心線維と嗅覚介在ニューロンを同時染色して共焦点観察できた例は、哺乳類も含めてほとんど例がないとのことです。


例2 ミツバチの一次嗅覚中枢(触覚葉)の糸球体構成
:細胞核(DAPI染色)
:背側感覚神経(FITC)
:腹側感覚神経(ローダミン)
500μm程度にわたって、細かい嗅覚求心線維の表現に加え、触覚葉内部の中空構造も立体的にうまく表現できております。


例3 昆虫脳の巨大嗅覚応答性介在ニューロンの細胞内染色像.
ルシファーイエローで染色し、深度に応じた色表示(左スケール参照).
巨大ニューロンの細かい枝構造を、通常の共焦点顕微鏡を用いて600μm近くもの深さにわたって高精細に観察できました。巨大ニューロンの細かい枝構造を、通常の共焦点顕微鏡を用いて600μm近くもの深さにわたって高精細に観察できました。


※ この部分のすべてのサンプルの作成と提供:北海道大学 電子科学研究所 人間数理研究分野 西野浩史先生

電動ステージでのタイリングで、広範囲画像の取得

Station-1では、画像取得をしながら電動ステージを綿密に制御して観察位置を変えてゆき、自動でつなぎ合わせることも可能です。そのため組織標本など1つの視野に収まりきらないようなサンプルでも、簡単にサンプル全域の共焦点観察ができます。以下の画像のいずれでも、画像例3の透過像でわずかに端に光のムラが発生するものの、"視野のずれや継ぎ目"は皆無であり、広域にわたって共焦点画像の取得が可能であることが確認できるかと思います。

画像例1 サーモフィッシャー社提供のFluoCells#4サンプル(三重染色マウス腸切片)の共焦点蛍光像.
画像例2 緑色蛍光タンパク(GFP)が発現したHeLa細胞の共焦点蛍光像.

画像例1では、60倍油浸レンズを用いて1枚が1024×1024の解像度の画像を取得し、それを縦:7×横:15=105枚の画像をつなぎ合わせております。超高解像度となったためオリジナルファイルは300MB以上となってしまいました。圧縮が可能なJPEG形式などでもサイズがあまりにも大きいため、その画像をここでお見せできないのが残念です…。

画像例2は、10倍レンズを用いて512×512の解像度の画像を取得し、縦:5×横:7=35枚の画像をつなぎ合わせております。これは縦:3mm, 横:4mmほどになり、このようにディッシュやスライドガラスのかなり広範囲を網羅した観察もできます。


画像例3 グリッドシールを貼ったFluoCells#2サンプルの広域共焦点蛍光像.
画像例4 上図3の指定領域を、等倍で表示.

更に画像例3では欲張ってみて、グリッドシールを貼った既製スライドガラスサンプルを20倍レンズで観察し、そして縦18×横:28=504枚の画像をつなぎ合わせて、約16mm×11mmの範囲を観察してみました(約13,000×8,000と、4Kどころではない超高解像度となるため、蛍光3色+透過像の場合でオリジナルファイルは800MB以上となります)。そしてここから、1視野程度のサイズの画像を図4で表示しておりますが、概ね通常の20倍の対物レンズで観られるような画像が取得できていることがわかるかと思われます。

このように、とりあえず広域マッピングを行い、その結果を持ち帰って眺めてターゲットとなりそうな場所の位置を把握して、油浸レンズで高画質の画像を取得することも可能です。とりあえず顕微鏡で観ながら良さそうなところをとにかく探す…となりますと、時間も(当センターの利用料金も)相当かかってしまいますので、より効率的にできるかとも思われますところです。

*シールのグリッド部分は、励起光が吸収されて少しだけ蛍光が暗くなるようです。またグリッドシールはカバーガラス側=対物レンズ真上に貼りますが、シールを貼ったままですと油浸レンズは使えません。スライドガラス側に貼りますと、透過像と蛍光像のフォーカスのずれが大きいので、両方を一度に撮ることは難しいところです。